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ビジネスモデルそのものに競争優位が生まれる時代へ

昨今主要メディアでも取り上げられるようになったSDGs。

日本でも認知度が徐々に拡大しつつありますが、同時にその捉え方は様々です。CSRみたいなもんでしょ?と捉えている経営者も多いですし、一概に間違っているとも言えないのですが、一つだけ気になる点としては「流行り」のような感じで一過性のブームのようなものと捉えている方がいたら、それは訂正していかなければならないと思っています。
 
今回は、事業領域とビジネスモデルについてお話をしますが、まずその事前知識として重要な要素となるSDGsについて、ちょっとだけ触れておこうと思います。
以前、こちらのサイトのブログでも紹介させていただきましたので、そちらもあわせてご参考にしてください。
 
 

 

敵も味方も、皆が目標とできるSDGs

最近になってようやくメディアでも大きく取り上げられるようになったため、一時期の流行りっぽく捉えられてしまうのも仕方ないと思いますしメディアとはそういうものだと思うのでそれが悪いことでも無いのですが、大切観点はSDGsは全世界共通で「利害関係を超えた共通目標」であることです。これは実はこれまで存在しなかった、結構画期的なことなんです。
 
「利」は良いとして「害」の関係と共通認識を持てる、ということが非常に大切で、例えば、ライバル企業と価格競争に陥った時に、環境に悪影響が出る方法でライバルより安く生産、販売したとします。
通常なら、何も知らない消費者は同じような製品が安く手に入るなら喜んでそっちを買いますよね。
ところが、そうした事実が内部告発で世の中に広まったらどうでしょう。
 
ネット上で炎上し、メディアでは叩かれ、投資家サイドからも厳しい評価を受け、結果的に事業の撤退を余儀なくされる、ということになりかねません。
 

ビジネスモデルが評価される時代に

事業活動にはかならずインプットとアウトプットが存在し、その中間に位置するものがビジネスモデルと呼ばれる事業のエンジンです。
 
ビジネスモデルは「自社」を中心に置いて、その周辺にステークホルダーと呼ばれる「お客様」「投資家」「競合」などのプレイヤーをおき、矢印で関係性を説明します。
 
そのステークホルダーはこれまで大体「目に見える相手」だったんですが、最近では「地球の裏側」みたいな目が届かないステークホルダーまで見据えて事業活動を持続可能なものとしているか、という非常に多角的な視点が求められるものになりつつあります。
 
 

地球環境との共存を前提にしたアップルのビジネスモデル

例えば、誰もが知っているアップルのビジネスモデルを見てみましょう。
 
iPhoneは間違いなく優れた製品ですし、使ったことのあるユーザーならその使い易さ、安定性、所有の喜びを満たす審美性など、アウトプットのレベルの高さは言うまでもありません。
もちろん、マーケティング活動も丁寧に行っていますし、売れる理由は十分あります。
 
 
しかし、実はアップルはアウトプットだけではなくビジネスモデルそのものにも工夫とノウハウが詰まっています。
こちらのページ中ほどにある動画をご覧下さい。
 
 
 
彼らはすべての製品を再生可能なアルミニウムで生産し、排出するCO2を管理し、自然エネルギーと環境保護活動を通じてカーボンニュートラルを実現しようと取り組んでいます。
 
iPhoneという製品を評価してもらうことはもはや当然なんですよね。投資家から評価されている点はiPhoneの機能や売上ではなく、実はこのビジネスモデルであり、アップルの高株価維持に大きく貢献しているという事実は、実はあんまり知られていません。
 
 

ビジネスモデルをいかに評価するか

ビジネスモデルの可視化は簡単ではありません。複雑に入り組んだステークホルダーマップを作成し、事業活動に伴う影響具合を定量的に出そうとしたらどこぞの学会が発表する論文レベルの資料になります。
 
もちろんその資料を作成することは素晴らしいことなのですが、投資していたり家族がその会社に勤務しているなど、何かしら関心がないとなかなかじっくり目を通してその企業のビジネスモデルにまで興味を持つことは難しいでしょう。
 
 
ビジネスを初めて間もない時はビジネスモデルだけを立派に考えても本当にそうなるかは不確定要素だらけでしょうし、素晴らしいアイデアがあってもキャッシュフローが回って継続した活動が可能な状態にならなければビジネスとは呼べません。
 
企業として競争力を高めて、ブランド認知が進んだ段階までくると、より大きなインパクト(環境負荷の低減を含めたSDGsの達成)に向けて資金ニーズが高まり、資金調達の方法を検討することとなります。
 
そうなるとVCやCVCからのエクイティ、社債や金融機関からのデットなどファイナンス戦略が重要になるタイミングで、ビジネスモデルの優位性が問われ始めます。
 
ファイナンス戦略については一冊の本になってしまうレベルの長い話になるのでここでは割愛しますが、資金の調達方法を誤ると事業の競争力を弱めるどころか、出資者への報告義務に追われ、やりたいことがやれなくなったり、下手をすると取締役会で退任を求められたり、事業活動そのものが停止するなど完全な負のスパイラルに陥ります。
 
さて、長くなってきたのでひとまず今回はここまでにしましょう。
 
 
次回はビジネスモデルの評価を通じた資金調達の具体的な方法について、解説していきたいと思います。
 

中小企業診断士の実務従事対象にNPO法人も!NPOを支援する前に知っておきたい注意点

資格には更新要件が無いものと、一定期間に更新要件をクリアしないと失効するものとがあります。

中小企業診断士の資格更新要件

実務従事制度変更については中小企業庁Webサイトに制度変更の概要の記載がありますので、あわせてこちらをご参照下さい。
 

NPO法人、社会福祉法人、医療法人すべてが実務従事の対象ではなく、「継続的に収益事業を行う法人」という要件がついていることにご注意ください。

さて、今回この実務従事対象の拡充について、少し補足しておかないといけないポイントがあります。

 

様々な法人には、その法人を定義する法律が存在する

中小企業診断士という資格には5年間で実際の支援業務(以下、実務従事)30日以上と認定機関による研修受講5回という更新要件が課せられています。

中小企業診断士という名称から想像できるように、あたりまえですが実務従事は中小企業への支援が対象とされていましたが、2019年8月から対象枠が拡充され、特定非営利活動法人(以下、NPO法人)も対象になりました。他にも社会福祉法人や医療法人なども対象枠に拡大され、中小企業診断士にとっては活躍のチャンスとして捉えられます。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、中小企業という定義は中小企業基本法という法律で定められています。

 
ちょっとややこしい話ですが、我々中小企業診断士にとって普段接することの少ない法律がたくさんあり、中小企業診断士は中小企業支援法、中小企業の税金については法人税法や地方税法等によって定義されています。
特定非営利活動法人は特定非営利活動促進法(通称NPO法)という法律で定義されています。社会福祉法人は社会福祉法が根拠となります。
 
こうした別の法律で定義されたもの同士を横断する形で、中小企業診断士の更新要件を拡充した今回の制度改正はなかなか画期的なものなのです。
 
同時に、NPO法人、医療法人、社会福祉法人で使われる言い回しである「収益事業」という言葉があるのですが、様々な定義が混在して使用されていることもあり、事業者や支援者が混乱することも珍しくありません。
 
ここで、当サイトで少しでも混乱を未然に防ぐため、実務従事対象となるNPO法人について説明します。(社会福祉法人と医療法人についても詳細はふれませんが同様の考えとご理解ください)。
 
 

収益業務と実務従事の関係と注意点

NPO法人の方たちからはこんな意見を頂くことがありました。
 
「うちは利益を上げるような収益事業をしていないから、診断士さんの実務従事対象にはならないね」
 
むむ、そうなのか。

法人税法では収益事業という概念があり、NPO法人は法人税法で定める収益事業を行っていると法人税などの税金が課されます。

ということは、NPO法人で法人税法の収益事業を行っていないとしたら、中小企業診断士の実務対象にはならない、という認識を持たれることになります。

しかしながら、法人税を納めていないNPO法人でも対象になる可能性は十分あります。ここが注意点なんです。

改めて、中小企業診断士の更新要件に関する中小企業庁HPに記載のあるQ&Aを見てみましょう。
 
ここのA3-6に以下のように収益事業に関する説明があります。
 

上記に記載のある通り、「対価」を得ていることのみが要件となっており、法人税法で定義される「収益事業」が対象となる、とは記載されていません。

詳しい方になると、今回の実務従事の対象が「ものづくり補助金」の対象と異なっていることに気が付く方もいるかもしれません。

「ものづくり補助金」の対象は、法人税法の収益事業を行っていることが要件とされていますが、今回の実務従事はより対象範囲が広いのです。

実務従事対象になるかどうかの見極めポイント

実務対象になるかどうかの見極めポイントは、サービス提供者と受益者の間に「対価」とされるものが支払われているか否か、のみです。法人税法等はここでは関係ありません。

例えば、高齢者向けにパソコン教室を行っているNPO法人は、収益事業を行っていないと解されていますが、対価を受け取ってサービスを提供しているので、実務従事では対象と考えられます。

今回の「収益事業」という定義は、かなり広くとらえらえる概念であることが読み取れます。

中小企業診断士によるNPO支援はまさに令和元年が皮きりの年です。

我々SBCGのメンバーも、より一層多くのNPO法人の方の支援を通じて社会に貢献したいと思います。

 

SDGsに取り組む非営利組織向けの助成金 ~Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs~

前回SDGsについて2回に亘り、事業者が商機とするポイントを説明しましたが、今回は視点を変えて民間の助成金についてです。
 
 
SDGsの普及促進に、国は直接的なバラマキ助成は行わなそうだ、ということは前回のブログで書きました。
 
 
なんだがっかりと思う事業者の方も少なくないと思いますが、落ち込むことなかれ、社会課題に立ち向かっている事業者には民間企業の助成金が待ってます。
 
 

SDGsに取り組む非営利組織向けの助成金「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」

その一つで、パナソニックが「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」という名称のファンドを組んで助成金を出しています。 
 
 
 
すでに17年に亘ってNPOの支援をしてきたこちらの助成も、いよいよ2019年度募集が7月16日から始まります。
 
 
応募要領や用紙はこちらからダウンロードできます。
 
 
こちらの助成金、当社団法人でも申請時のサポートをしております。
ただし、サポートといっても申請書を代筆することはしておりません。
 
 

助成金の申請書は、宣誓書とみるべき

この助成金に限った話ではありませんが、仮に支援側が代筆して採択されても、その文章が自身の言葉になっていなければ結局プロジェクトが頓挫してしまうからです。
 
 
そのため、我々はまずは事業者の方にヒアリングを通じて、目標は自分たちの言葉で表現してもらいます。その上で、以下の支援を行うことが多いです。
 
 
 
・社会課題解決へのロジックモデルとKPIの抽出
 
・編集担当によるライティング
 
・各専門家による申請後の継続支援
 
 
 
相談はHPから随時受け付けておりますが、申請要件がいくつかあるので事前に要件を満たしているか、ご注意下さい。
 
以下、応募要項の一部を抜粋して記載します。
 
【応募要件① 助成の対象となる団体 】
国内の貧困の解消、または、貧困と関連のある問題の解消に取り組む NPO で、以下の要件を満たす団体を対象とします。
① 国内の貧困の解消または貧困と関連のある問題の解消に向けて取り組んでいること
② 国内に主たる活動と事務所を有する民間非営利組織(法人格の有無や種類は問わない)であること
③ 団体設立から 3 年以上が経過し、有給常勤スタッフが 1 名以上であること
④ 政治・宗教活動を目的とせず反社会的な勢力とは一切関わりがないこと
 
 
【応募要件② 助成の対象となる事業】
国内の貧困の解消、または、貧困と関連のある問題の解消に向けて、持続的・発展的に社会の変革をめざす NPO で、第三者の多様で客観的な視点を取り入れた組織基盤強化を助成の対象とします。
 
 
 
まずはここまでで応募要件をクリアしているかどうかを確認して下さい。
助成対象は、あくまで組織基盤の強化に係る経費です。販路開拓や運転資金には充当できません。ご注意下さい。
 
 
 

助成金対象の組織基盤の強化とは

そもそも、この組織基盤の強化って何?と思う方も少なくないと思います。
このPanasonicの助成金の大切なポイントです。
 
組織基盤の強化とは、ここでは「信頼度(ガバナンス)を高めて、人材及び資金調達力の強化」と言っていいでしょう。
 
 
NPOは、自主事業の他に第三者からの寄付や行政からの受託など、株式会社とは異なる資金調達手段があります。
 
但し、それらを獲得するには情報の透明性やガバナンス機能が必要不可欠で、それらを第三者機関による認証によって担保する制度が存在します
 
株式会社なら資金調達時には証券会社やVC、金融機関などが細かく調べてその信頼度を担保してくれますが、NPOの場合はそうした制度が無いので、信頼の見える化が大切になってきます。
 
 
さて、話を戻すと
 
基盤の強化≒信頼度(ガバナンス)を高めて人材・資金調達力の強化
 
を目指すNPO事業者には、以下の2つのコースから自分たちのフェーズにあったものを選択して応募します。
 
 
◆組織診断からはじめる A コース 
助成 1 年目に組織診断によって組織の優先課題とその解決の方向性を明らかにした上で、組織基盤強化計画の立案に取り組み、助成 2 年目以降は具体の組織課題の解決や組織運営の改善に取り組むコー
 
 
◆組織基盤強化からはじめる B コース 
応募の時点で組織の優先課題とその解決の方向性が明らかとなっており、立案した組織基盤強化計画にもとづいて、助成 1 年目から具体の組織課題の解決や組織運営の改善に取り組むコース
 
 
各々のコースで、一年経過時に更新可否の審査があり、Aコースは最大3年間、Bコースは最大2年感の助成が受けられます。
 
 
助成額は、Aコースは1年目は100万円、2年目以降は200万円まで。
Bコースは1年目から200万円まで助成されます。
 
 
助成の対象となる経費は、組織診断または組織基盤強化に必要な経費、コンサルティングに必要な経費、事業の進捗管理に必要な事務局経費が対象となります。
 
 
こうした助成金の応募を通じて自社の強みや課題を見つめ直してみては如何でしょうか。

SDGsを契機に捉え、事業を収益化させるには(2/2)

さて、SDGsを商機に捉えるポイントの後半です。
 
前半では、SDGsとは何者なのかを、ヤクルトの取り組みを例に説明しました。
 
また、国がSDGsをプッシュしたい背景なども合わせて紹介し、関連した支援事業がこれから色々立ち上がる可能性について、書かせて頂きましたね。
 
 
後半では、具体的な支援策の動きを紹介していきます。
 
 

長野県と経済産業省が始めたロールモデル

ここ数ヵ月で目立った動きとして、関東経済産業局が長野県と連携して推進している地域SDGsコンソーシアム(NAGANO×KANTO地域SDGsコンソーシアム)が上げられます。
 
 
こちらの事業は地方創生色が強いのかなぁと最初は思ってましたが、詳しく聞くと必ずしもそうではないことがわかり、SDGsを広い解釈で理解するには分かりやすい事業だと思いますので、こちらを紹介して、この記事をご覧の方々に有益な情報を掴むヒントを探っていこうと思います。
 
 
さて、長野県でのこの取り組み、どんなものかと言いますと、下記の部分を引用させてもらいながら説明していきます。
 
 
 
<目的・概要>
・自治体等が「SDGsに取り組む地域の中堅・中小企業向けの支援策(地域企業向けの認定・登録等制度のようなイメージ)を検討する際の参考ツール」として例示するもの。
 
・支援モデルの活用を通じて、地域企業に対して、社会課題やニーズを踏まえた新たなアクション等をバックキャスティングの手法で考えるきっかけを提供するとともに、SDGs貢献に繋がる取組・企業活動(非財務情報等)についての理解・気付きを促進することが目的。
 
(経済産業省関東経済産業局HP一部引用)
 
 
さて、一部わかりにくい言い回しはあるものの、ようは「中小企業を支援する自治体向けの支援モデルが策定された」ということです。
図で表すとこんな感じですかね。
 
 
 
中小企業向けの具体的な支援策(補助金含む)は各自治体に委ねられるニュアンスも含まれています。積極的にSDGsに取り組んでいる自治体の事業者は、今後自治体との連携や、自治体からの支援も増える、かも。ということになりますね。
 
 
ちょっと踏み込んで解釈すると、これは国から各自治体への「布石」とも受け取れます。
 
自治体に支援を促すのは国の自由ですが、支援をするには当然資金が必要ですよね。
各自治体にそんな余裕はあるわけないですし、よくわからないSDGsの前に壊れた道路を直すほうが先決なわけですよ。
そんなわけで、当然国から自治体へ資金の流れは生まれると思われます。
現時点ではまだ明らかな資金的インセンティブが自治体側に明示されておりませんが、国から各自治体へ資金を流している「地方交付税」および「地方譲与税」はそのインセンティブになる可能性が高いとみています。
 
※画像は総務省HPのものを一部引用
 
 
 

地方交付税の仕組み

地方交付税は、国から各自治体へ毎年交付される自治体にとってなくてはならない資金源です。
 
地方交付税の原資は、国税のうち下記のものとなっています。
 
所得税の33.1%
酒税の50%
法人税の33.1%
消費税の22.3%
地方法人税の100%
 
 
これらの原資をもとに、「定められた計算式」から算出された額が各地方に交付されるわけですが、この「定められた計算式」には、各自治体の状況に応じて補正が可能な係数というものが掛け算されています。この係数を調整して、自治体の状況に即して交付される額を増減させることができるようになっています。
 
 
 

地方譲与税の仕組み

地方譲与税というのはいくつかの税の総称をさしております。そのうちの一つが地方法人特別税です。
 
地方法人特別税は、国が国税として徴収し、その後、地方法人特別譲与税という名前に変わって再分配されます。
地方交付税と同じ流れです。
 
※画像は総務省HPのものを一部引用
 
 
この地方法人特別税は、実は平成31年(令和元年)に廃止される予定なっています。
といっても、貴重な地方の財源をゼロにすることは現実的ではないですから、体系が変わって他の形で財源化されると思います。
 
 
ここからはあくまで予想ですが、地方法人特別税の代わりが、SDGsの促進に一躍担う税制になるのではないかと睨んでいます
 
 
既存の枠組みの中で、国の予算にSDGsの色を付けることは現実的ではありません。これまでのことを否定することにも繋がってしまいますからね。
 
そのため、新しくできるNEXT地方法人特別税の波に、各自治体が乗るためには、SDGsの普及に一役買うことが求められる可能性が高いです。
 
 
この税制の変更に伴って、
 
①SDGsを実践する自治体には国からお金が入ってくる
②そのお金を使って各自治体は中小企業支援施策を企画する
③支援施策を利用する事業者は、その恩恵に与れる
 
 
と、いう三段論法になりますね。
 
 
少々まどろっこしい話しが続きましたが、SDGsを商機に捉えるポイントは、
 
自治体(都道府県、区市町村)との距離をいかに縮められるか
 
この点が非常に重要な観点です。
これまで、こうしたいわゆる「お役所」と呼ばれていた人たちと仕事をしてきた方は、関係式が良好であればアドバンテージが出る可能性が高いです。
 
「SDGsに取り組んでいる」ことがうまく自治体に認められれば、何らかの支援策を享受できる時代になってきます。逆に、「SDGsの枠組みに入るかもしれないけど、どうアプローチしてよいかわからない」といった事業者が増えることも避けられないでしょう。
 
 
これまではBtoB、BtoCといったビジネスモデルで完結しておりましたが、これからは自治体との連携が事業者にとって欠かせない視点になってくる時代になります。
 
 
この自治体との連携については機会があればこちらのブログにて書かせて頂ければと思いますし、興味のある事業者の方がいらっしゃいましたら、当社団へお問い合わせ頂ければと思います。

SDGsを契機に捉え、事業を収益化させるには(1/2)

SDGsという言葉を最近よく目にするようになりましたね。
ここではソーシャルセクターにとってSDGsを商機に捉えるための視点について紹介していきます。
 
 
まずはSDGsについて、簡単に前知識を持ちましょう。
 
 

キーワードは「誰一人」残さない。SDGsを実践するとは具体的にはどういうことか

御存知の方も多いかと思いますが、SDGsは17のゴール・169のターゲットから構成されています。
 
そして、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。
この「誰一人取り残さない」という視点は色々な観点で大切になってきます。とりあえず、この概念を覚えておいて下さい。
 
さて、それではSDGsの具体的な活動を見ていきましょう。
外務省が主導して「ジャパンSDGsアワード」という公募形式のコンペティションが開催されており、2018年12月に第二回の結果発表がありました。まずはこちらの事例から紹介します。
 
 
※こちらのサイトから、過去の結果が記載された資料をダウンロードできます。
 
 
分かりやすくHPに活動をまとめてくれているヤクルトを例に上げましょう。
 
 
上記の通り、ヤクルトがSDGsのために新しく何かを始めたわけではなく、これまでやってきたことをSDGsの枠に当てはめたらこうだった、ということが読み取れますね。 
SDGsという定義が出る前から、こうした方針を理念に掲げていた企業はこの手法で実践していると謳うことができる好例ですね。
 
 
 
 
次に紹介するのは、上記の「これまでの事業」ではなく、明らかにSDGsを意識した新しい企業活動です。
 
2019年1月15日の日本経済新聞の夕刊の一面のタイトルをご覧になられた方もいると思います。
「フェアトレード 日本企業動く」
 
 
タイトルが示す通り、帝人や楽天といった大手企業がフェアトレード認証製品を取り扱う動きが活発化しています。
 
 
フェアトレードはSDGsと非常に親和性が高いと言われています。
フェアトレード認証を行っている「NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン」にもSDGsに関する記載がありますので、ご興味ある方はご参照ください。
 
 
 
SDGsが、これまで数多にあった環境を意識した開発目標とは一線を画して普及が進んでいる要因はどこにあるのでしょうか。
 
 
 

SDGsを国が普及させようとしている理由 ~Society5.0とESG投資~

経済を重視した場合、この手の環境や人権を優先する目標は多くが重荷になります。
より安いエネルギー、より安い人件費を求めた場合、化石燃料や立場の弱い人を低賃金で雇ったほうが同じものを安く作れるのが残念ながらこれまでの世界事情です。
 
ゆえ、経済を優先すればするほど、あまり声高らかに環境目標などは掲げないほうが良いのです。
しかし、経済志向と言われている自民党の安倍総理からも、SDGsに積極的に取り組んでいくと声明を出してます。
 
その背景にあるのは、Society5.0という経済的目標と、ESG投資という金融的な動きです。
 
 
この経済的・金融的な動きが強い追い風になって、SDGsを推進しているのです。SDGsの目標の多くが環境や人権保護で占められる中、8番に「働きがいも、経済成長も」9番に「産業と技術革新の基盤をつくろう」という目標を掲げていますね。
 
このしれっと入っている8番と9番が隠れた起爆剤になっているのです。
 
 
Society5.0と、ESG投資の二つの視点は、これまで収益を上げるのが難しかった社会課題解決型活動を事業化させるための大切な視点です。
 
 
後半を読む際にもお忘れなく!

消費税増税から見る、ポイント寄付の可能生と信頼性

ポイント還元時代の到来

いよいよ消費税が10%になるまで一年を切り、キャッシュレス決済時に限ってポイントで2~5%で還元するなどの方針も出始めていますね。
 
 
出典:東京新聞
 
この制度が分かりやすいか否かはさておき、ポイントで還元されるという流れはここ数年でよく見るようになりました。
 
100億円あげちゃうキャンペーンで話題を呼んだPayPayも、20%分をポイントで還元するという形式ですし、楽天Payなども楽天ポイントが貯まるなど、至るところで色んなポイントが貯まっていきます。
 
 

使用されないポイントこそ、失効する前に寄付に回すべき

さて、そうなると必然的に「使わないポイント」「使えなかったポイント」も出てくると思われます。
例えば、楽天ポイントはキャンペーンで期間限定で数倍多めについたりしますが、2ヶ月以内に使わないと失効するなど、あくまで販促ツールとして有効期間内に楽天で再び買い物しない限り失効されます。
 
ただ、お金と違って一定期間使われなかったら提供会社に戻るだけなので、そうした失効ポイントの総額が世の中で一体いくらあるのかは測定はできませんが、相当なポイントが使われないまま失効されていると思われます。もったいないですね。どうせならこうしたポイントこそ、寄付などに回してほしいと思ってしまいます。
 
今回は、そんなポイントに着目して、「ポイント×ソーシャル」という観点で調べてみました。
 
 

現行のポイント寄付サービス一覧

現状のポイント寄付サービスで使い勝手が良いと言われているのは「Yahoo!ネット募金」です。
 
 
通常通りのクレジットカードからの寄付も受け付けてますが、特徴は1ポイントからTポイントを寄付に使える点です。
当サイトではこれまでに寄付総額として5億円を超えており、今後さらなる拡大が期待されています。
 
 
プロジェクトも「ips細胞の研究支援」といった大型のプロジェクトから「冬休みに子供食堂を開きたい」といった比較的小さめのプロジェクトもあり、誰もが気軽に寄付ができるプラットフォームになっています。
※2018年12月現在、新しいプロジェクトの開設は受付を一時的に中止しております。早期の再開を期待しましょう。
 
その他、募金できるポイントは下記の通りです。
 
・Tポイント
これまでの寄付総額 約2億5千万円(ポイント)
 
・楽天スーパーポイント
これまでの寄付総額 約11億円
 
・dポイント(NTTドコモ)
 
・nanacoポイント(セブンイレブン)
 
・Pontaポイント(ローソン提携)
 
・WALLETポイント(KDDI)
 
※他にも今は募集はしていませんが、WAONポイントやLINEポイントなどもあります。 
 
以上、メジャーどころだけでもたくさんありますし、もう少し規模が小さいポイントサービスでも寄付ができるサイトはかなりあります。
 
 
ただ、以上のサイトを見てみると重要な点に気が付きます。
実は、Yahoo!ネット募金が新規のプロジェクトを公募を停止した今、プロジェクトを公募しているサイトがまったく無く、寄付サイトの運営側が選定した団体のプロジェクトのみ寄付が可能となっております。
 
現在寄付の募集がされている団体がどのようにして選ばれているのかはどのサイトにも明示されておりませんが、一つ言えることは、現在名を連ねている寄付先の団体は高い信頼性を担保している、という点です。

寄付先として信頼される団体になるために

今後、寄付先の団体として選定されるためには、できることから積み上げて信頼性を高めていくことが必要です。
そのできることのうち、着手しやすいのは「情報開示」です。
 
日本財団が運営する公益事業のコミュニティサイト「CANPAN」がその開示先としては最も有効なサイトです。
 
 
こちらのサイトから団体登録を行い、情報を開示していくとそのレベルに応じて「情報開示レベル」が★の数で表されます。
この★の数が多ければ多いほど、情報開示ができている≒信頼性が高い ということになるわけです。
 
寄付先として選ばれる団体に共通して言えることは、自団体が信頼されるための努力を惜しまないという点です。
 
是非、CANPANで評価の高い情報開示レベルを取得することから信頼性を高めてみてください。

助成金の申請時に事業評価が求められる時代へ ~非営利団体の対応策~

非営利団体にとって、会員からの会費や賛同者からの寄付金に加えて、助成金とクラウドファウンディングも不可欠な資金源となっている団体も少なくありません。
 
助成金は、平成30年3月に内閣府が発表した「社会的事業に対する資金提供実態に関する調査」からも、金額の増加傾向が確認できます。
 
 
ここで、一つ注目する点として同調査において、「社会性をより評価する仕組みを有する」資金提供金額が、平成26年度が149億円、平成27年度が207億円(前年度比38.8%増)、平成28年度が216億円(前年度比4.3%増)と徐々に増加している点です。
 
 
 
ここでは、この増加傾向にある「社会性を評価する仕組み」について、記載いたします。
 

【①評価が可能な対象とする】計画に測定不可能な要素を入れない

資金調達をする際に助成金に申請するか、クラウドファンディングに挑戦するか、悩む場合は少なからずあると思います。
 
どちらが正解ということはありませんが、一つの目安として、少額のプロジェクトの場合はクラウドファンディングの相性が良いとされています。
例えば、『子供のためのフリースクールのエアコンが壊れて困っています!子ども達に快適な環境を!』などで、エアコン購入費として20万円募る、などといった場合は、明らかな用途、少額での達成、共感のしやすさから、応募時期も募集期間も自由なクラウドファンディングが向いています。
 
 
それに対し、民間の助成金は応募時期は年に1回、助成期間も1〜3年とそれなりに長いものが多いため、いわゆる事業計画が必要になります。
 
計画には将来の不確定要素が含まれるため、その不確定要素に対する検証が可能かどうかが審査の上で一つのポイントになります。
例えば、対象者やエリアがはっきりした事業だとある程度観測が可能なため、効果検証がしやすいです。
対して、「高齢者がイキイキと生きがいを感じるようになる場を創る」といった事業計画を作った場合、その成果を測るのは難しくなります。
 
「〇〇市における定年を迎えた高齢男性の引きこもりを減らす」というような具体的な定量調査が可能な対象範囲に絞り、何人引きこもりを脱したかを図れるように事業を組み立てることが必要になります。
 
 
このように、不特定多数の「顔が見えない対象者」や、広範過ぎる「境界線が無いエリア」は、評価検証時につまづくことが多いため、評価が求められる計画の目的は、対象範囲を絞ることが大切です。
 
 

【②評価を見える化する】評価を測る成果指標を持つ

非営利団体の『事業評価』とは何なのでしょうか。
 
株式会社なら利益額や利益率、ROIなどの指標が存在しますが、非営利団体にとっては正式な成果指標はありません。
 
例えば、日本財団が公示している事業評価の視点がこちらに記載されておりますので、ご興味ある方はご参照下さい。
 
 
現状は、評価する者が相対的に定量・定性的に比較検討する形で審査しています。
※もちろん、評価する側も専門的知識を有した方たち複数人で評価するため、なるべく不公平がないよう評価しています。
 
しかし、この『事業評価』は諸刃の剣の側面もあります。
例えば、子ども食堂を作るとした団体が、成果指標を(食数)とした場合、本来受け入れたいはずの孤食の子供に対してリーチが疎かになり、規模だけを追う活動になってしまいます。
 
子ども食堂には、食事を通じて心のケアや子どもに必要な支援への橋渡し、多様な大人への理解など、多面的な効果が期待されるため、どうやって成果指標を取り入れればよいのかわからず、主催者側が困惑してしまうケースがあるのも事実なのです。
 
評価基準は客観性に欠けてはいけませんが、第三者(助成側など)が決めると、現場の声や事業主の思いとは離れた、数値的な(ドライな)評価基準となってしまいます。
 
ゆえ、事業主の思いに寄り添いながら客観的な評価基準を構築していく必要があります。
そうした複数の成果指標に基づき、アンケート調査や、定量調査を事業の途中で行うようにします。
 
 

【③評価を成長に繋げる】事業のPDCAサイクルを回す仕組みをつくる

クラウドファンディングなどの個人の賛同者を募るなら、事業の評価や検証という観点はあまり求められません。あくまで個人がその活動を応援したいか、否かで決まります。
 
しかし、助成金の審査で頭一つ抜きんでるには、事業をマネジメントする体制があることを事業計画にしっかりと記載する必要があります。よく「体制図」を書く欄がありますよね。
その図の中に、事業評価をする体制、すなわち事業のPDCAサイクルを回す仕組みがあることを事業計画に記載します。
 
非営利団体の活動では、PDCAのうち、C(チェック)まで手が回っていない団体も少なくありません。
 
しかし、このC(チェック)こそが『事業評価』の出発点であり、その結果を踏まえて改善活動をしているという流れが、PDCAサイクルが回っているということです。
 
助成金に申請する際の事業計画を作る上で、是非この3つの視点を持って取り組んで見てください。
 
また、その評価基準を構築する際には、一人の視点のみならず、事業主の方などの主観的な思いと、客観的なアドバイザーからの視点の両面を取り入れて、評価体制を作ることをお勧めします。
 

東京都でソーシャルビジネスの創業をお考えの方へ ~採択のポイントは出す側の思いにある~

創業時の資金調達の際に、金融機関から融資を受けたり補助金を考える方は少なくないと思います。

融資では連帯保証人を義務付しない日本政策金融公庫の「新規開業資金」を検討される方が多いと思います。

また、西武信用金庫の「CHANGE」もかなり低金利で融資を受けられるため、ソーシャルビジネス創業者で検討された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

融資について丁寧に解説すると長くなるので、今回は「創業時の助成金」にフォーカスして、採択率を上げるポイントを解説します。

 

創業時点で、信用力を証明するのは難しい

融資を受けるにしろ、補助金を受けるにしろ、創業の場合は判断する大前提の「信用」をどう証明するかがネックになります。
融資の場合は信用力が上がれば(=回収リスクが下がれば)、当然利子率も下がりますし、補助金の場合は採択率が高まります。

しかし、多くの場合ここでソーシャルビジネスの創業は難しい局面にぶつかります。

社会課題解決型のビジネス環境は通常とは異なり、一般的な「市場性」という区切りでは語れないビジネス環境に位置しています。

例えそのような状況にありながらも、一つ一つ実績を積み上げて信頼を獲得していく、というのがソーシャルビジネス従事者に求められる大切な姿勢です。
とはいえ、通常の株式会社の創業と比較されると「市場性」という観点ではソーシャルビジネスは劣勢に追い込まれるのは明白なのです。

実際、東京都の創業助成事業はNPO(特定非営利活動法人)は対象法人となっていますが、補助金でNPOが採択されている例はかなり少なく、東京都の創業助成金では平成27年~30年上半期(全採択件数377件)でわずか1件と、厳しい採択率です。
(※ちなみに、唯一1件のNPOは、平成27年度の創業助成事業で採択された民間の学童保育を運営する「Chance for All」さんです。)

ここで、注目すべき点があります。
NPOの採択件数は1件ですが、「学童」というキーワードでは毎年のように多数の事業者が採択されております。

この結果から、どんなことが考えられますでしょうか

 

助成金には、お金を「出す側の思い」が色濃く付いている

そうなんです。
助成金は、助成する側(今回でいうと東京都)の思いが色濃く出ます。東京都の思いは色々な方向があるのですが、その方向の一つが「女性の働き方をサポートしたい」という思いが読み取れますね。
実際に、東京都が重点政策方針として紹介しています。
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/basic-plan/tokyo-houshin/

こちらの8つの戦略の5番目「安心して子供を産み育てることができるまち」がこれにあたります。

もちろん、実際に働く女性の増加に伴い、学童のニーズの高まりを受けて、市場が拡大していることも背景にあります。
しかし、東京都の働き方改革を推進する上で、「女性・シニアの働き手を増やす」という指針があるため、こうした創業助成の採択結果にその色が反映されていると言えます。

東京都に限らず、助成金には「出す側の思い」が必ず存在し、「受け取る側の思い」と一致した場合、採択の可能性がグッとあがります。

多くの事業者の方は、

・こんな事業をしたい
・社会的にこの事業が必要だ
・自社のコア技術は素晴らしい

と「受け取る側の思い」を強調して発信しがちです。
しかし、実は「出す側の思い」の分析をしっかりした上で、自分たちの思いとの接点を見つけ、その接点をわかりやすく伝えることが採択率を上げる大きな要素になります。

代表の方の能力や資格、職歴などは信用力に影響はしますが、そこはあくまで加点ポイントです。
土台となる事業計画には「出す側の思い」をしっかり理解しているか、という視点が大切になります。

東京都の創業助成事業の下半期の募集は、2018年10月22日~31日までとなります。
東京都でソーシャルビジネスの創業を検討されている方は、是非トライしてみてください。

http://www.tokyo-kosha.or.jp/station/services/sogyokassei/

当社団へのご意見・ご相談があればお気軽にお問合せフォームからご連絡ください。

ソーシャルビジネスでクラウドファンディングを検討されている方へ

ソーシャルセクターにとって、資金調達の柱の一つとなったクラウドファンディング。ご覧いただいたいる皆様の中にも一度はプロジェクトを起案した方もいるかもしれません。
 
東京都でソーシャルビジネスに従事する中小企業の方であれば、一定の要件はありますがクラウドファウンディング成立時に発生する手数料に補助がでるのはご存知でしょうか。
 

クラウドファンディングを活用した資金調達支援事業

参照元
 
 
手数料はプラットフォームごとに異なりますが、例えば手数料が15%のプラットフォームで400万の資金調達に成功したとします。
 
そうすると、サイト運営会社に支払う手数料は
400万×0.15=60万円
ということになります。
 
補助額はこの60万円の半額、30万円が補助されます。
※上限が30万のため、手数料が100万円でも30万までの支払いになる点が注意です。
 
 
改めてクラウドファンディングの分類についてはここでは詳しくは書きませんが、補助対象となるプラットフォームは「寄付型」と「購入型」の2種になります。
 
支援対象となるサイトは以下の通り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

クラウドファンディングでどれくらいのお金が動いているのか(市場規模)

調査会社の矢野経済研究所の2017年に行った調査によると、2016年は市場規模としては前年度比96,6%増の745億5100万円。この額面だけ見てもピンと来ないと思いますので、成長率に注目すると、なんと前年比約二倍です。
 
その内訳として、
 
①購入型 約62億円
②寄付型 約5億円
③投資型 約675億円
 
 
と、投資型が大きく市場を牽引している形ですが、面白いところが②の寄付型の成長率が著しく高いところです。
 
2014年は寄付型の市場規模は約1億円でした。
色々要因はあると思いますが、わずか2年で約5倍です!
今後も増加傾向は続くと予測され、ソーシャルセクターにとっては有効な資金調達手段となっていくことは疑う余地がありません。
 
 

ソーシャルセクターにとって、クラウドファンディングのメリット・デメリット

資金調達としての側面の他に、クラウドファンディングには様々なメリットがあります。もちろん、それなりにデメリットもありますのでここで紹介しておきます。
 
 
 
【メリット】
①広報効果
知名度が高くない事業者でも、プロジェクトの内容次第で資金調達に加えて知名度も向上できます。メディア関係者もよくサイトを訪れているため、プレス効果があることもメリットの一つです。
 
 
②ファンの創出
プラットフォーム上では、プロジェクトの進捗を報告したり、支援者からのメッセージが受け取れたりと、寄付者とのコミュニティが形成されます。
そうしたやり取りで信頼関係を構築できれば、寄付者は根強いファンになってくれる可能性が高いです。
 
 
③理念の確立
資金を調達するには、自分たちの活動をわかりやすく紹介したり、共感を生み出すストーリーが大切になります。
そのため、それまでは言葉に表しにくい活動の源泉が、しっかりとした事業理念という言葉に代わって、強い推進力を持つようになります。
 
と、書き出したら色々あるわけですが、デメリットもしっかり伝えておきます。
 
 
【デメリット】
①更新の手間を覚悟する
クラウドファンディング成立後の活動報告を怠ったり、寄付者とのコミュニケーションを疎かにすると、一瞬で寄付者の心は離れます。よほどのコアファンでない限り、一度離れると戻ることはなく、むしろアンチ側に回る恐れさえあります。
一度立ち上げたプロジェクトは最後まで丁寧にケアする必要があり、更新の手間がかかります。
 
 
②資産の透明化(管理)が必要になる
調達した資金は、例え寄付であれ応援の意味が込められた貴重な資産です。
調達した資金がどのように使われて、どういったアウトプットになったのか、資産の見える化を行い、透明性を上げることで更なる信用を獲得できます。
継続した資金調達を行いたいと考えている事業者は、資産の透明性を可能とする管理が必要になります。
 
 
 
 
当社団では、クラウドファウンディングに必要な「共感を生み出すストーリー」の作成支援を行っております。
あわせて、コピーや写真撮影・動画編集などを行えるクリエイティブ系スタッフも在籍しています
 
・プラットフォームの選定
・プロジェクトのストーリーテリング
・ページの作成・更新等の進行管理
・助成金申請時の事業計画書の作成支援(東京都のみ)
・継続したファンドレイズ支援
 
など、トータルで支援しております。
 
クラウドファウンディングをご検討のソーシャルセクターの方は、お気軽にご相談下さい。
 
 
 

NPOが「ものづくり補助金」対象に!NPOが申請する際の注意点とポイントまとめ

2018年8月公募開始の平成29年度補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(通称ものづくり補助金)」の二次公募から、とうとうNPOも申請対象に含まれることになりました。

NPO法人は中小企業基本法上の中小企業の枠組みからは外れるため、国などの公的機関の補助金・助成金には対象になっていたり、なってなかったりと混合状態が続いています。

そのような中で、中小企業支援の目玉とも言える大型補助金の「ものづくり補助金」がNPO法人対象になったのはかなり大きな意義があります。
例えばNPOは小規模型(補助上限500万円)であれば、一定の条件はありますが原則補助率は2/3になります。

最近ではしっかり収益を上げて雇用に繋げているNPOも増えてきているため、IT投資や新たなサービス提供への挑戦を促す好機となりました。

しかしながら、すべてのNPOが対象というわけではありません。

 

NPOによる「ものづくり補助金」申請の注意点

公募要領には以下のような注意書きが太字で書かれています。
“特定非営利活動法人単体で申請を行う場合、法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34業種)を行う法人であり、かつ認定特定非営利活動法人でないこと。また、本事業に係る「経営力向上計画」の認定を受けていること。”

この文面がちょっとわかりにくいので補足しますと、NPOは“物品販売業”、“請負業”などの法人税法により定められた収益事業を営む場合にのみ、その収益事業から生じる所得に法人税が課税されます。
「ものづくり補助金」においては、そうした収益事業を行っているNPO(=法人税を払うべきNPO)であることを条件にしてる、ということです。

この点については、以前から非営利法人については、営利法人と同じ事業を行っている場合には税金などの面で営利法人と同等とすべきという

“イコールフィッティング”

という考え方があるのですが、今回の「ものづくり補助金」のNPOへの対象拡大についてはこのイコールフィッティングの考えに即して、営利企業と同様に税金を支払うNPOであれば補助金を支援するということになったのだと思われます。

それから、「認定」NPO(認定特定非営利活動法人)という存在があるのは御存知の方も多いと思いますが、今回は認定NPOではないNPOを条件にしています。
認定NPOだと、寄付金控除の対象として寄付金を優遇して獲得できたりするメリットがありますが、認定NPOでないことが申請要件とされています。

また、公募要領をみると、もう1つNPOには「経営力向上計画」の認定を受けていることといった応募要件が付されています。「経営力向上計画」の認定にはある程度の日数を要するのですが、中小企業庁の担当者に確認したところ、「経営力向上計画」の申請をしていれば、認定までいたっていなくても、ものづくり補助金に公募できるとのことですので、この点ご留意ください。

 

「ものづくり補助金」採択のポイント

ものづくり補助金は面接がない申請書のみの審査となりますので、いかにして初見の複数の審査員に「わかりやすく」「現実性を持って」「信頼してもらえる」資料とするかが前提となります。

公募要領に審査項目は記載されております。今年度は

①補助対象事業の適格性
②技術面
③事業化面
④政策面
⑤加点項目

以上5項目が設定され、その中で細分化されて点数付けされていきます。

以上の内容のうち、①は公序良俗に反する事業や、社会通念上不適切であると判断される事業などは除外といったように、そもそも論のお話なので適正な事業でないと採択はされません。
②、③は点数の多くを占める重要なポイントです。技術的な話を自社について全く知らない相手にいかに魅力的かつ現実的な発展があるかを文章によって伝えるテクニックが必要になります。

⑤は、賃上げ1%に取り組むなど定められた加点要素があり、該当すれば頭一つ抜きんで点数を積み上げることができるイメージです。

①は自社でチェックできると思いますし、⑤は可能な限り積み上げれば良いのでここも自社で踏ん張れば対応はできると思います。

しかし、②~④については、書き方・見せ方のテクニックや政策面に関する知識が必要で、第三者目線での客観的な視点が不可欠です。

 

当社団でのサポートについて

ソーシャルビジネス・コンサルタントグループでは、これまでにものづくり補助金の豊富な申請実績を有するメンバーが在籍しており、様々な業種・業態のサポートが可能です。

ものづくり補助金の申請をお考えのNPO事業者の方は、以下のような申請サポートメニューを用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

・申請に関する事前相談(無料)

申請に関する事前相談は無料となります。
以下の具体的業務は有料となりますが、契約前に事前にお見積もりを提示した上、双方合意の契約書締結の上に進めますのでご安心ください。

・申請書の作成補助
・経営力向上計画の作成補助
・採択後のプロジェクト進行

費用感を知りたい方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。

●【全国中小企業団体中央会】ものづくり補助金2次公募要領(参考版)
https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_2koubo20180803.pdf

応募申請は各都道府県地域事務局発行の公募要領を参照ください。

●【東京都の場合:東京都全国中小企業団体中央会】平成29年度補正「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の二次公募について
https://www.tokyochuokai.or.jp/flash/1657-2018-08-06-1030.html