前回SDGsについて2回に亘り、 事業者が商機とするポイントを説明しましたが、 今回は視点を変えて民間の助成金についてです。
なんだがっかりと思う事業者の方も少なくないと思いますが、 落ち込むことなかれ、 社会課題に立ち向かっている事業者には民間企業の助成金が待って ます。
SDGsに取り組む非営利組織向けの助成金「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」
その一つで、パナソニックが「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」という名称のファンドを組んで助成金を出しています。
すでに17年に亘ってNPOの支援をしてきたこちらの助成も、 いよいよ2019年度募集が7月16日から始まります。
応募要領や用紙はこちらからダウンロードできます。
https://www.panasonic.com/jp/ corporate/sustainability/ citizenship/pnsf/npo_summary/ 2019_recruit.html
こちらの助成金、 当社団法人でも申請時のサポートをしております。
ただし、サポートといっても申請書を代筆することはしておりません。
助成金の申請書は、宣誓書とみるべき
この助成金に限った話ではありませんが、仮に支援側が代筆して採択されても、 その文章が自身の言葉になっていなければ結局プロジェクトが頓挫してしまうからです。
そのため、 我々はまずは事業者の方にヒアリングを通じて、目標は自分たちの言 葉で表現してもらいます。その上で、以下の支援を行うことが多いです。
・社会課題解決へのロジックモデルとKPIの抽出
・編集担当によるライティング
・各専門家による申請後の継続支援
相談はHPから随時受け付けておりますが、 申請要件がいくつかあるので事前に要件を満たしているか、 ご注意下さい。
以下、応募要項の一部を抜粋して記載します。
【応募要件① 助成の対象となる団体 】
国内の貧困の解消、または、 貧困と関連のある問題の解消に取り組む NPO で、以下の要件を満たす団体を対象とします。
① 国内の貧困の解消または貧困と関連のある問題の解消に向けて取り 組んでいること
② 国内に主たる活動と事務所を有する民間非営利組織( 法人格の有無や種類は問わない)であること
③ 団体設立から 3 年以上が経過し、有給常勤スタッフが 1 名以上であること
④ 政治・ 宗教活動を目的とせず反社会的な勢力とは一切関わりがないこと
【応募要件② 助成の対象となる事業】
国内の貧困の解消、または、 貧困と関連のある問題の解消に向けて、持続的・ 発展的に社会の変革をめざす NPO で、 第三者の多様で客観的な視点を取り入れた組織基盤強化を助成の対 象とします。
まずはここまでで応募要件をクリアしているかどうかを確認して下 さい。
助成対象は、あくまで組織基盤の強化に係る経費です。 販路開拓や運転資金には充当できません。ご注意下さい。
助成金対象の組織基盤の強化とは
そもそも、この組織基盤の強化って何? と思う方も少なくないと思います。
このPanasonicの助成金の大切なポイントです。
組織基盤の強化とは、ここでは「信頼度(ガバナンス)を高めて、 人材及び資金調達力の強化」と言っていいでしょう。
NPOは、自主事業の他に第三者からの寄付や行政からの受託など、 株式会社とは異なる資金調達手段があります。
但し、 それらを獲得するには情報の透明性やガバナンス機能が必要不可欠 で、 それらを第三者機関による認証によって担保する制度が存在します 。
株式会社なら資金調達時には証券会社やVC、 金融機関などが細かく調べてその信頼度を担保してくれますが、 NPOの場合はそうした制度が無いので、 信頼の見える化が大切になってきます。
さて、話を戻すと
基盤の強化≒信頼度(ガバナンス)を高めて人材・ 資金調達力の強化
を目指すNPO事業者には、 以下の2つのコースから自分たちのフェーズにあったものを選択し て応募します。
◆組織診断からはじめる A コース
助成 1 年目に組織診断によって組織の優先課題とその解決の方向性を明ら かにした上で、組織基盤強化計画の立案に取り組み、助成 2 年目以降は具体の組織課題の解決や組織運営の改善に取り組むコー ス
◆組織基盤強化からはじめる B コース
応募の時点で組織の優先課題とその解決の方向性が明らかとなって おり、立案した組織基盤強化計画にもとづいて、助成 1 年目から具体の組織課題の解決や組織運営の改善に取り組むコース
各々のコースで、一年経過時に更新可否の審査があり、 Aコースは最大3年間、 Bコースは最大2年感の助成が受けられます。
助成額は、Aコースは1年目は100万円、 2年目以降は200万円まで。
Bコースは1年目から200万円まで助成されます。
助成の対象となる経費は、 組織診断または組織基盤強化に必要な経費、 コンサルティングに必要な経費、 事業の進捗管理に必要な事務局経費が対象となります。
こうした助成金の応募を通じて自社の強みや課題を見つめ直してみ ては如何でしょうか。