さて、SDGsを商機に捉えるポイントの後半です。
前半では、SDGsとは何者なのかを、 ヤクルトの取り組みを例に説明しました。
また、国がSDGsをプッシュしたい背景なども合わせて紹介し、 関連した支援事業がこれから色々立ち上がる可能性について、 書かせて頂きましたね。
後半では、具体的な支援策の動きを紹介していきます。
長野県と経済産業省が始めたロールモデル
ここ数ヵ月で目立った動きとして、 関東経済産業局が長野県と連携して推進している地域SDGsコン ソーシアム(NAGANO× KANTO地域SDGsコンソーシアム)が上げられます。
こちらの事業は地方創生色が強いのかなぁと最初は思ってましたが 、詳しく聞くと必ずしもそうではないことがわかり、 SDGsを広い解釈で理解するには分かりやすい事業だと思います ので、こちらを紹介して、 この記事をご覧の方々に有益な情報を掴むヒントを探っていこうと 思います。
さて、長野県でのこの取り組み、どんなものかと言いますと、 下記の部分を引用させてもらいながら説明していきます。
<目的・概要>
・自治体等が「SDGsに取り組む地域の中堅・ 中小企業向けの支援策(地域企業向けの認定・ 登録等制度のようなイメージ)を検討する際の参考ツール」 として例示するもの。
・支援モデルの活用を通じて、地域企業に対して、 社会課題やニーズを踏まえた新たなアクション等をバックキャステ ィングの手法で考えるきっかけを提供するとともに、 SDGs貢献に繋がる取組・企業活動(非財務情報等) についての理解・気付きを促進することが目的。
(経済産業省関東経済産業局HP一部引用)
さて、一部わかりにくい言い回しはあるものの、ようは「 中小企業を支援する自治体向けの支援モデルが策定された」 ということです。
図で表すとこんな感じですかね。
中小企業向けの具体的な支援策(補助金含む) は各自治体に委ねられるニュアンスも含まれています。 積極的にSDGsに取り組んでいる自治体の事業者は、 今後自治体との連携や、自治体からの支援も増える、かも。 ということになりますね。
ちょっと踏み込んで解釈すると、これは国から各自治体への「 布石」とも受け取れます。
自治体に支援を促すのは国の自由ですが、 支援をするには当然資金が必要ですよね。
各自治体にそんな余裕はあるわけないですし、 よくわからないSDGsの前に壊れた道路を直すほうが先決なわけ ですよ。
そんなわけで、 当然国から自治体へ資金の流れは生まれると思われます。
現時点ではまだ明らかな資金的インセンティブが自治体側に明示さ れておりませんが、国から各自治体へ資金を流している「 地方交付税」および「地方譲与税」 はそのインセンティブになる可能性が高いとみています。
※画像は総務省HPのものを一部引用
地方交付税の仕組み
地方交付税は、 国から各自治体へ毎年交付される自治体にとってなくてはならない 資金源です。
地方交付税の原資は、国税のうち下記のものとなっています。
所得税の33.1%
酒税の50%
法人税の33.1%
消費税の22.3%
地方法人税の100%
これらの原資をもとに、「定められた計算式」 から算出された額が各地方に交付されるわけですが、この「 定められた計算式」には、 各自治体の状況に応じて補正が可能な係数というものが掛け算され ています。この係数を調整して、 自治体の状況に即して交付される額を増減させることができるよう になっています。
地方譲与税の仕組み
地方譲与税というのはいくつかの税の総称をさしております。 そのうちの一つが地方法人特別税です。
地方法人特別税は、国が国税として徴収し、その後、 地方法人特別譲与税という名前に変わって再分配されます。
地方交付税と同じ流れです。
※画像は総務省HPのものを一部引用
この地方法人特別税は、実は平成31年(令和元年) に廃止される予定なっています。
といっても、 貴重な地方の財源をゼロにすることは現実的ではないですから、 体系が変わって他の形で財源化されると思います。
ここからはあくまで予想ですが、地方法人特別税の代わりが、 SDGsの促進に一躍担う税制になるのではないかと睨んでいます 。
既存の枠組みの中で、 国の予算にSDGsの色を付けることは現実的ではありません。 これまでのことを否定することにも繋がってしまいますからね。
そのため、新しくできるNEXT地方法人特別税の波に、 各自治体が乗るためには、 SDGsの普及に一役買うことが求められる可能性が高いです。
この税制の変更に伴って、
①SDGsを実践する自治体には国からお金が入ってくる
②そのお金を使って各自治体は中小企業支援施策を企画する
③支援施策を利用する事業者は、その恩恵に与れる
と、いう三段論法になりますね。
少々まどろっこしい話しが続きましたが、 SDGsを商機に捉えるポイントは、
自治体(都道府県、区市町村)との距離をいかに縮められるか
この点が非常に重要な観点です。
これまで、こうしたいわゆる「お役所」と呼ばれていた人たちと仕事をしてきた方は、関係式が良好であればアドバンテージが出る可能性が高いです。
「SDGsに取り組んでいる」ことがうまく自治体に認められれば、何らかの支援策を享受できる時代になってきます。逆に、「SDGsの枠組みに入るかもしれないけど、どうアプローチしてよいかわからない」といった事業者が増えることも避けられないでしょう。
これまではBtoB、 BtoCといったビジネスモデルで完結しておりましたが、 これからは自治体との連携が事業者にとって欠かせない視点になっ てくる時代になります。
この自治体との連携については機会があればこちらのブログにて書 かせて頂ければと思いますし、 興味のある事業者の方がいらっしゃいましたら、 当社団へお問い合わせ頂ければと思います。