創業時の資金調達の際に、金融機関から融資を受けたり補助金を考える方は少なくないと思います。
融資では連帯保証人を義務付しない日本政策金融公庫の「新規開業資金」を検討される方が多いと思います。
また、西武信用金庫の「CHANGE」もかなり低金利で融資を受けられるため、ソーシャルビジネス創業者で検討された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
融資について丁寧に解説すると長くなるので、今回は「創業時の助成金」にフォーカスして、採択率を上げるポイントを解説します。
創業時点で、信用力を証明するのは難しい
融資を受けるにしろ、補助金を受けるにしろ、創業の場合は判断する大前提の「信用」をどう証明するかがネックになります。
融資の場合は信用力が上がれば(=回収リスクが下がれば)、当然利子率も下がりますし、補助金の場合は採択率が高まります。
しかし、多くの場合ここでソーシャルビジネスの創業は難しい局面にぶつかります。
社会課題解決型のビジネス環境は通常とは異なり、一般的な「市場性」という区切りでは語れないビジネス環境に位置しています。
例えそのような状況にありながらも、一つ一つ実績を積み上げて信頼を獲得していく、というのがソーシャルビジネス従事者に求められる大切な姿勢です。
とはいえ、通常の株式会社の創業と比較されると「市場性」という観点ではソーシャルビジネスは劣勢に追い込まれるのは明白なのです。
実際、東京都の創業助成事業はNPO(特定非営利活動法人)は対象法人となっていますが、補助金でNPOが採択されている例はかなり少なく、東京都の創業助成金では平成27年~30年上半期(全採択件数377件)でわずか1件と、厳しい採択率です。
(※ちなみに、唯一1件のNPOは、平成27年度の創業助成事業で採択された民間の学童保育を運営する「Chance for All」さんです。)
ここで、注目すべき点があります。
NPOの採択件数は1件ですが、「学童」というキーワードでは毎年のように多数の事業者が採択されております。
この結果から、どんなことが考えられますでしょうか
助成金には、お金を「出す側の思い」が色濃く付いている
そうなんです。
助成金は、助成する側(今回でいうと東京都)の思いが色濃く出ます。東京都の思いは色々な方向があるのですが、その方向の一つが「女性の働き方をサポートしたい」という思いが読み取れますね。
実際に、東京都が重点政策方針として紹介しています。
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/basic-plan/tokyo-houshin/
こちらの8つの戦略の5番目「安心して子供を産み育てることができるまち」がこれにあたります。
もちろん、実際に働く女性の増加に伴い、学童のニーズの高まりを受けて、市場が拡大していることも背景にあります。
しかし、東京都の働き方改革を推進する上で、「女性・シニアの働き手を増やす」という指針があるため、こうした創業助成の採択結果にその色が反映されていると言えます。
東京都に限らず、助成金には「出す側の思い」が必ず存在し、「受け取る側の思い」と一致した場合、採択の可能性がグッとあがります。
多くの事業者の方は、
・こんな事業をしたい
・社会的にこの事業が必要だ
・自社のコア技術は素晴らしい
と「受け取る側の思い」を強調して発信しがちです。
しかし、実は「出す側の思い」の分析をしっかりした上で、自分たちの思いとの接点を見つけ、その接点をわかりやすく伝えることが採択率を上げる大きな要素になります。
代表の方の能力や資格、職歴などは信用力に影響はしますが、そこはあくまで加点ポイントです。
土台となる事業計画には「出す側の思い」をしっかり理解しているか、という視点が大切になります。
東京都の創業助成事業の下半期の募集は、2018年10月22日~31日までとなります。
東京都でソーシャルビジネスの創業を検討されている方は、是非トライしてみてください。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/station/services/sogyokassei/
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